2012年7月18日水曜日

1X11A014 一岡 洋祐  A++















接点がフリージョイントになっていて、置き方によってその都度、偶発的に安定した形が表れる。隣接する形相互のセミラチスなシステムによってもたらされる不可分な形が表現されている。(博多)

1X11A159 宮原 一樹  A++















アニメーションのコマ撮りのように折り紙の一つ一つをクロノフォトグラフィとした作品。折り紙を折っていく過程で現れる様々な形は、次の型の枠でもあり、それが鏡面によって連鎖されることで大きな永久運動としてたち表れてくる。白と黒の使い方も的確で完成度の高い作品として仕上がっている。(間下)
1X11A029 大川 亮介  A++




















薄い塩ビに裏打ちされた「履歴書」が分厚い土台に差し込まれた不安定な状態で固定されている。「履歴書」は、その人個人の(つまらない意味での)社会的立場を明確化する枠と言えるかもしれない。さらに「履歴書」の枠に書かれた文字(型)が、ランダムに刳り貫かれ、白い地面に積もっている。書かれた内容を情報として扱う作者の意図は、積もっている小さな丸に色を付けることで表され、「履歴書」の枠としての性格を強調することに成功している。(TA堀)

1X11A148 松崎里穂



















言葉に使われている:何かを見上げる姿勢をした少女の身体には、それぞれの部位に相当する単語がちりばめられている。タイトルが暗示する、自分自身の身体でさえ既存の言葉の型にはまっている様子と、厚紙で丁寧に加工された人型の表す枠組みとしての意味が、複合的に表現されている。(安東)
1X11A025 内田 久美子  A++















眼球と網膜の間の存在する空間としての堀の深さと厚み、在るべき眼球を外すことによって、映像と写像の認識の中にある型と枠が露出した形で表現されている。(博多)
1X11A114 中西 將 A++
 

















型をつくるための型:タイトルのしめすとおり、いつでも携帯できるような、小さな判子のような入れ物である。ある意味、課題に対する直接的な回答になっていると思う。型の凹凸がぴったりはまる作りの丁寧さが「型」と「枠」の持つ意味を象徴している。 (安東)

1X11A001 艾 慕 A++


















さいころのドットを一面に展開した形。たよりなくへたりおちた形が、うめ干しや、ほしぶどうを連想させる。型と枠を消失させて、ゆがんだ生の形を記号的に展開した点が、背景としての型・枠の連想へとつながっていく。
(博多)
1X11A124 橋爪 慧太  A++




 

















Black BoxCubeを思わせる立体が間隔を置いて並列する。すべて二面の辺を欠如しているのだが、Cubeというイメージを欠くことはない。それらしい枠を与えると、型(形)は自ずから見る側に作られる。そして台座の上は形の欠如を示すショーケイスである。(入江)
1X11A129 花房 俊治  A++






















紙コップを握りつぶした時の手の跡をかためた作品。紙コップと手の間には本来は形としては残らない「力」が存在しているが、それを一つのオブジェとして具現化したことで、紙コップ=型、手=枠の関係性を紙コップ、手=枠、形=力と反転させて見せている。(間下)




台座のデザインと制作:TA
1X11A002 秋間 弘貴  A++
 















 靴底と、靴底のスリップ止めの型の刻印とが、透明アクリル板にSetになって留め付けられている。型・枠の表裏一体、不可分の密接な様態を、二枚のアクリル板の間と表面をとおして対応させている。ストレイトな爽快感は残る作品。(入江)

第八課題『型・枠 の Showcase』

出題者 博多 努

「型・枠」 の Showcase

身体とモノと空間との間に反転した形で介在し、
型に対する枠を形成するもの
(鋳型・テンプレート・ネガ)のようなもの。
形のもつ二つの側面をとらえなおし、
動作と未分離な形、密接不離な関係性を生活のシーンの中に発見し、motion
を含んだひとつの「かたまり」として取出し、展示してください。


提出物 立体(275mm×275mmベース)
出題日 2012年6月27日
提出日 2012年7月4日(13:30時間厳守)
講評日 2012年7月11日

2012年7月10日火曜日

1X11A148 松崎 果穂  A++
 















ソーセージのような塊。握ってみるとふわふわしたものの奥に固い芯がある。それはあたかも人の腕を掴んだ時の感覚と瓜二つである。触覚で骨の存在を知ると共にその感覚はたとえば子供の頃に親の手にすがったような、人との繋がりを求める人の本質を具現化した原器にもなっているといえよう。(間下)

1X11A031 大高 翔吾  A++
 















厚紙で製作されたフレームの中に緩やかに曲げたミラー板が収まっている。覗き見ると、ミラーに映る物の形は全て歪み、実像を知ることができない。作者にとっての原器とは、複雑にからみあった画像が揺らめきクリアーに理解されることがないような、内面を表す装置という意味なのか。(安東)

1X11A097 田川 萌子  A++
 


 












布で表装した蓋が、スライドすると白い箱に入れられた白い積木が組み合わされている。積木の組み合わせを経験することで、さまざまな立体感覚を作者はつちかってきたようだ。丁寧に制作された箱は、作者の立体感覚の芯を包み込んでいるということが実感される作品となっている。好感のもてる作品である。(入江)

1X11A064 佐々木 奏子  A++















先鋭なシナプスの先端を思わせる器管を、ブドウを覆うカバーのような半透明なカバーが包み込んでいる。隠蔽された中に無方向で何ともつながっていないけれど、全てのものとつながろうとする、根づいた外部と交信する器管としての力強さを感じる。(博多)


1X11A051 工藤 永人  A++
 















色とりどりの粘土のようなものを積層させた作品。地球の一部をぐっとにぎりつぶしてしめかためたようにも、体の中身を取り出したようにもみえる。要素を抽出するというよりは雑多なものをすべてこめて圧縮することで原器となっている。(間下)

1X11A024 内島 達也 A++
 















節のついた長い木棒の軸に沿って一定の間隔でカッターの刃が刺さっている。その固まり全体をカバーするように、柔らかいビニールが全体を覆っている。この柔らかい膜のおかげで、凶器を内側に秘めた外形は抽象になり、不思議な存在感が漂う。作者の原器のイメージが感覚的に伝わる独特な作品。(安東)

1X11A079 新藤 翼 A++

















プロダクトとして完成された卵の梱包材を輪ゴムの簡易なテンションによって、パーソナルな形に変形させている。材料のもつインダストリアルな器としての単位性と、粗さをもったソフトな質感に対して、不安定で張りつめた形で一時的に成立している。形を原器として位置付けた点に作品としての強度がある。(博多)
1X11A081 諏佐 遙也  A++
 




















台座に差し入れられた厚手トレペが孤を描いて立ち上がる。孤を形成するための折り目が、垂直線から樹木の枝ぶりのように派生して上昇、展開している。微かに透けた白いラインが、面を支えるという原器の役割を担っているかのようだ。もっと深められる作品である。(入江)
1X11A124 橋爪 慧太  A++




 










接地面から15cm上方に白い平滑な板がある。そこから重力に引き寄せられるように下方に成長するアクリルの壁。その壁の下半分は不透明な状態にありアルミの四角柱と均衡を保つ。密封された透明な箱の中に何か不明瞭な力のバランスがありそうである。ありそうであると思える「ものとしての力」を感じるが、どこかオブジェの段階で止まっているところがあるのではないかと思ってしまう。TA堀)
1X11A001 艾 慕  A++
















 東京の路線図を白い針金で模した作品。都市における「骨」とは何かを素材感をもって表現している。走る電車はさしずめリンパ線といえようか。東京に住まうものならこの模型を見てパッと路線図だと皆にわかる所が骨たるゆえんだろう。(間下)

第七課題『骨をみるー原器の発見』

出題者:間下 奈津子


骨をみる−原器の発見



誰の体にも潜んでいて、芯をなしている「骨」
ただ普段自分の目で直に確認することは出来ません。
各々にとっての「骨」とは何かを考え
立体に現して下さい。


 
出題日:6月20日
提出日:6月27日 13:30
講評日:7月4日
提出物:立体 大きさ指定無し

2012年7月2日月曜日

1X11A081 諏佐 遙也  A++
 

 





The note of Cigar
一枚目のシガーのイラストがとてもよい。これから大事に吸うであろう、一本のシガーに特別な意味がこめられている。62分間のジャズの音楽を聞きながらシガーをたのしむ。過ぎ行く時間がカフェラテとシガーの煙に包まれ音楽もセピア色に共鳴する。時間と空間、並行する事象が緩やかなグラデーションに表現された、オリジナリティーのある深い作品。(安東)
1X11A145 本間 千尋  A++
 












『知識の』と題した作品。大学での講義風景が対象で、黒板に記述された数式や図形が左から右に展開されている。右端に最後に埋め尽くした若い教員の軽い左手の仕草が解き明かした道筋の階梯と勁いコントラストを成している。このコントラストにある解明のグラデーションと最初の表記からの時間を通した背景の黒板の状態のグラデーションが重層して伝わってくる。(入江)
1X11A140 藤原 麻美  A++
 




















10000円
一万円札が使われて形を変えていく様を本仕立てで表した作品。神々しく置かれた一枚の札が、模型材料になり、コンビニのご飯になっていく様は背後に潜む作者の気持ちのグラデーションまでも読みとることができる。ページをめくるのが楽しい。(間下)
1X11A059 小林 大純  A++
 









Rain:雨が降り始めて、道路を彩る傘の色が段々増えてくる。みなそれぞれの個性を表すように、傘の色もまた十人十色でカラフルな画面が美しく彩られる。時間と共に変化する「雨」の情景が少しにじませた水彩により描かれた、雨の湿度も感じさせる雰囲気のある作品。(安東)
1X11A024 内島 達也  A++
 




















 文字内容とは無関係に自然発生するニュートラルな情報をグラデーションとして表現している。行間をすべり落ちる別のサイン、モワレた情報の質と、実際に書かれている内容のギャップを見せるのに、原稿用紙のます目が効果的に作用している。(博多)